WORKS
制作実績
印刷物等
【活版印刷設立3周年挨拶状】株式会社Catad(自社)
サイズ:横210mm×縦230mm(2つ折)
用紙:わたがみ 白 135kg
カラー:活版印刷 外面2色(スミ+調色)中面1色(スミ)
弊社設立3周年の際にクライアントや取引先、お世話になった方や友人知人にノベルティと共にお送りしたご挨拶状です。
ご挨拶全文は>をクリック
今回はどうしても活版印刷を使いたいと思い、福岡市城南区鳥飼の印刷所「文林堂」にお声かけしました。先代社長が1938年に活版印刷所を創業し、2代目の山田社長(先代はお父様)は10歳の時から83歳の今でも活版印刷に心血を注いでいらっしゃいます。
文林堂さんはNHKラジオドラマやドキュメンタリー映画の題材にもなっています。
Qualities取材記事 https://qualities.jp/article/bunrindo1
https://qualities.jp/article/bunrindo2
活版印刷は11世紀に誕生したと言われている、古い歴史をもつ印刷方法です。1文字ずつの活字を組み合わせて活字組版を作るので、大変な労力を要します。現在の商業印刷ではデジタルデータを用いたオフセット印刷やオンデマンド(デジタル)印刷が主流ですので、目にする機会はだいぶ減りました。
しかし、活版印刷独特の豊かな味わいは表現手法として現在でも愛されています。特に少部数で品質の高い印刷を求めるようなシーンや、「伝えたい」想いが強いシーンで活用されています。
これは文林堂で撮影した活字の一部です。圧巻!これでもまだまだ少なくて、活字が足りずに苦労される時もあるそうです。
今回は、明治時代に作られたアルビオン型国産手引き活版印刷機を使って1枚ずつ印刷しました。国産で現存しているのはわずか数台と言われています。
文林堂にはドイツのハイデルベルグ社で1960年に製造されたプラテン型活版印刷機もあります。サラリーマンの平均月給が1万円だった時代に300万円で販売されていた高級な機械です。
活版印刷を活かすようデザインはシンプルに。ベタは一切使わずにデザインしました。中面の「ー」や「・」はちょっとした遊び心で、ここではタネ明かしはしません。
外面にロゴやQRコードが入っていますが、これは製版して印刷しています。活版印刷では活字だけでなく、こういうオリジナルデザインも可能です。
用紙はわたがみを採用しました。和紙の質感に高度な印刷適性を備えた嵩高紙です。ベタを使わず紙色をそのまま活かすので、用紙自体がアイボリーがかったものを選んでいます。表面と裏面で紙の質感が違うのも特徴です。
カラーはスミ(黒)と弊社のキーカラーであるワインレッド。オフセット印刷やオンデマンド印刷ではCMYKの数値でカラーを表現しますが、活版印刷の場合は活版印刷専用のインクを複数ブレンドして色を作る「調色」という作業を行います。
この調色は完全に職人の目と手を頼りにしたもので、デザイン入稿したCMYKデータや弊社の名刺、過去に作った挨拶状の現物を見ながら少しずつ調整して色を作っていきます。
活版印刷は多くの手間暇と職人の技術が必要です。これを「手間暇『が』かかる」とはあまり言いたくなく。「手間暇『を』かける」と言いたい技法で、「手間暇をかけるこだわり」をお持ちの方はぜひご相談くださいませ。